業界に特化した会計士の転職【CPA'sVOICE】Vol.19

公認会計士と一言で言っても、得意分野や経験してきた業界は個々によって様々です。中には特定の業界に特化して監査業務を行ってきたという会計士も少なくありません。
業界に特化してきた会計士は、新たな分野を目指して転職することはできるのでしょうか?
公認会計士として新たな分野にチャレンジするための心得や昨今ニーズが高まっている分野について解説します。

業界に特化した会計士は意外と多い

公認会計士になった方が、どのような業界でもまんべんなく監査ができるようになるとは限りません。監査法人によって、担当する業界や得意な分野はそれぞれ違うものです。
また、大手法人であれば幅広い業界に携われるのでは?と思うかもしれませんが、大手法人では、部署ごとに担当業界や分野を分けているケースも少なくありません。
そのため、誰もがどの業界もこなせるオールマイティーな公認会計士というわけではなく、業界に特化している公認会計士は、案外多いのです。

異なる業界の監査にチャレンジするには

業界に特化していたら、その業界以外の監査はできないのかというと、そういうわけではありません。
実際に、他の分野にチャレンジしたいという想いから、転職する公認会計士も一定数存在します。

ただし、監査業務の特性上、担当する業界特有のノウハウや経験が求められるため、未経験分野にチャレンジする場合は給与などの条件面が今よりも下がる可能性があります。
もちろん、会計士としての経験は他の分野でも活かすことができますが、新たな分野にチャレンジするには一からのスタートと捉えて学びなおす姿勢で臨むことが大切です。

得意分野を極めるのも手段のひとつ

様々な分野にチャレンジしながらキャリアを広げていきたいと考える会計士も多い一方で、中にはスペシャリストとして一定の分野に特化し続ける会計士もいます。
会計監査は、単調な仕事だと思われることもありますが、毎年のように監査基準やルールが変わったり、情勢や経済動向によって観点を変える必要があったりと、変化も学びも多い業界です。
一定の業界に特化し続けることで、専門性をさらに高めることができ、業界独自の特殊な知識やノウハウを更新していく面白さも感じられるものです。

幅広い分野にチャレンジして経験の幅を広げる道も、業界に特化して得意分野を極める道も、いずれも会計士としてのスキルアップやキャリアアップに繋がっているのです。

IT監査は専門性もニーズも高い!

監査法人が行う会計監査の一部として行われるのがIT監査です。
企業活動においてITシステムが切り離せない存在となった今、どの業界のどの会社においても、ITリスクは大きな経営課題になります。
財務諸表の裏付けとなる数字はITシステムを通じて算出されるものがほとんどであるため、財務諸表監査においてもIT監査の重要性は年々高まっています。

IT監査は、特殊な知識が求められる専門性の高い分野でもあります。
希少性もニーズも高いだけに、IT監査の知識や経験を積むことで、公認会計士としてのスキルアップにも繋がります。
と言っても、まったくの異分野から飛び込むにはハードルが高いもの。
まずは、実務に役立つ資格の取得を目指すことで、IT監査に一歩近づく可能性があります。

例えば、CISA(公認情報システム監査人)は、システム監査において欠かせないと言われている資格のひとつ。
監査法人によっては、資格取得支援制度で取得をサポートしてくれる場合もあるため、そのような制度を上手に活用すると良いでしょう。

実際に、私の所属するあかり監査法人でも、資格取得支援制度を活用してCISAを取得し、IT監査として活躍している公認会計士もいます。
▼CISAを取得した公認会計士のインタビュー記事はコチラ
資格取得支援制度を活用して業務範囲を拡大。スキルアップで目指すさらなる成長

新たな分野としてIT監査にチャレンジすることで、スキルアップやキャリアアップも期待できますよ!

まとめ

今回は、業界に特化した公認会計士の転職について紹介しました。
様々な業界にチャレンジしてキャリアを広げるには、どうしてもいちからスタートする時期を過ごさなければいけません。
しかし、一歩ずつチャレンジし続けることで、スキルアップになり、将来的なキャリアアップにも繋がることでしょう。
また、業界に特化して得意分野を極めるのも道のひとつです。
目まぐるしく変化する監査業界の中で常に学びながら、ご自身に合ったキャリアを歩んでいってくださいね。

公認会計士のつぶやき PICK UP

公認会計士のつぶやき PICK UP