公認会計士って何で忙しいの?副業や投資NGって本当?【CPA'sVOICE】Vol.5

「監査法人は忙しそう」…
そうイメージする方は少なくないことでしょう。
実際に監査法人での仕事は、時期によっては正直に言って忙しいです。
もちろん、世の中に忙しくない仕事なんてないとは思いますが、監査法人はなぜ「忙しい」というイメージが強いのでしょうか?

今回は、監査法人の仕事の実態や忙しさの理由に迫ります!

品質管理対応の複雑化が忙しさの要因!

 

では、さっそく監査法人の忙しさの理由について考えていきましょう。

年々増える品質管理対応が大きな要因

監査法人の仕事が忙しいのは、年々増え続ける品質管理に対応しなければいけないことが大きな要因のひとつです。

監査法人は、事務所内の案件検証のために会計士協会や金融庁からレビューを受けるのですが、その際にひとつの案件で指摘を受けると、その他のすべての案件において見直しが必要になります。
そのため、どうしても手間と時間がかかってしまうのです。

不正がないことを証明することの大変さ

そもそも、なぜ品質管理対応が年々増えているのかと言うと、大きな不正が発生するごとに会計監査自体が見直され、どんどん監査基準が複雑化しているから。
新たな基準をかいくぐって不正を働く企業がある限り、監査基準の複雑化は免れないというわけです。

もちろん、世の中の多くの企業が不正など働かない真面目でクリアな会社でしょう。
しかし会計監査においては、クリアな会社もそうでない会社も、同じだけの手順を踏まなければいけません。
つまり、不正を暴くことよりも不正がないことを証明することの方が、業務ボリュームが圧倒的に多く時間がかかるのです。

クリアな会社からしたら「そんなことまでしなきゃいけないの?」と思うこともあるでしょうが、クリアであることを証明するためにも細かく調査しなければいけない。
だからこそ、監査法人の仕事は忙しいのです。

忙しさの中にある監査法人のやりがい

 

監査法人の忙しさの理由について理解していただけたと思います。
一方で、監査法人の仕事は、単に忙しいだけではありません。きちんとやりがいがあるのです。

クリアな社会づくりに必要な仕事

大手監査法人などグローバル企業の案件を抱える場合、グローバルネットワークファームで定められた独自の監査ルールに基づいて監査する必要があります。
上場企業の監査の場合は、批判的機能が求められるだけに、いくらクリアな企業であっても厳しい監査が必要になります。

監査の仕事とは、「そんな細かいことまで…」と思われることも徹底して行うからこそ、不正が発覚したり、不正がないことを証明したりすることができ、クリアな社会づくりに貢献できているわけです。
監査法事の忙しさの裏側には、そうしたやりがいが必ずあるものです。

IPOならではのやりがいも

また、IPO監査の場合は、クリアな社会づくりだけでなく、企業の成長を支えるというやりがいもあります。

 

IPOについての詳しい内容についてはこちらの記事でご紹介しています。
【CPA'sVOICE】Vol.4 IPO監査って何をするの?公認会計士の役割は?

 

監査法人の仕事は確かに忙しいかもしれませんが、それ以上に社会的意義ややりがいの大きい仕事であることは間違いありません。

忙しくても副業はできる?

公認会計士を目指す方から、時折「副業はできますか?」という質問をいただくことがあります。
率直な答えとしては、「できない」と思っておいた方が良いでしょう。

そもそも、副業をしている時間的な余裕は、正直に言ってあまりありません。
また、会計士の仕事には機密事項も多く、守秘義務の観点からも多くの監査法人では副業を禁止しています。

ちなみに、「副業がダメなら投資でもしようかな」と考える方もいるかもしれませんが、監査の仕事はインサイダー情報を扱うことから、株式投資も原則禁止されています。

なお、私が所属するあかり監査法人では、副業を「全面禁止」にはしていません。
監査の仕事と関連がなく、会社として承認できる内容の場合には、例外的ではありますが副業を認めています。

とはいえ、実際には副業しているスタッフはほとんどいないのが現状。
貴重な時間を副業にあてるよりも、会計士としてスキルアップするための勉強をしたり新たな資格取得を目指したりして、自己投資に時間を割く方が有意義だと考える方が多いのです。
実際に、監査業務に役立つ資格を取得し、より深い監査ができるようになったと話すスタッフもいます。

決して副業が悪いとは思いませんが、自己成長に繋がるような時間の使い方をすることが大切だと思っています。

忙しいのは監査の精度が高まっている証!

「監査法人の仕事は忙しい」というのは、誤解を恐れず言えばイメージ通りの事実です。
これは、年々監査基準が複雑化し、監査業務に求められる作業が年々増加していることが大きな要因です。
その中には形骸的で意味のないように感じられる作業も正直ありますが…。
でも、その作業の一つ一つの積み重ねが不正のない資本市場を支える縁の下の力持ちとして必要な忙しさだと思えば、やりがいを持って活躍することもできるのです。

また、働き方改革が叫ばれる昨今においては、子育て支援やワークライフバランスに力を入れる監査法人も増えてきています。

あかり監査法人では、クライアントや監査チーム内の議論を通じて不必要な作業を極力排除し、きめ細かいアサイン管理の実践により一個人への業務の集中を回避していますので、一部の大手監査法人や中堅監査法人などと比較すると、圧倒的に残業時間の少ない労働環境を整備しています。
また、「子育てみらいコンシェルジュ」「子ども家庭庁ベビーシッター券」など、子育て支援に力を入れ、実際に子育て世代も多数活躍しています。
忙しい…とはいえ、ハードワークのイメージもずいぶんと変わってきています。
ぜひ安心して監査法人での活躍を目指してくださいね!

公認会計士のつぶやき PICK UP

公認会計士のつぶやき PICK UP