IPO監査って何をするの?公認会計士の役割は?【CPA'sVOICE】Vol.4

公認会計士を目指す皆さんはIPO監査について正しく理解できているでしょうか?
中には、「上場企業の監査業務と何が違うの?」と疑問に思われている方もいることでしょう。
今回は、そんなIPO監査に着目!
上場企業の監査との違いや公認会計士の役割について解説します。

IPOって何?

そもそもIPOとは…

Initial(最初の)Public(公開の)Offering(売り物)の略で、新規公開株式を指します。
企業が資金調達や知名度の向上などを目的として新規に株式を上場し、不特定多数の投資家に発行株式を公開することです。
 

IPO監査を行う企業は、多くの場合内部統制がきちんと整っていません。
本来、監査とは、第三者目線で客観的に行うべきですが、IPOの場合は客観的な視点を持ちながらも、企業の体制や状態に寄り添った一定のフォローが必要なのです。

上場企業の監査とIPO監査の違い

上場企業に対する監査であってもIPO監査であっても、監査業務の作業内容自体には、実は大きな違いはありません。
しかしながら、監査を行う上で求められる要素には、かなり違いが見られます。それはなぜでしょうか?

上場企業の監査にはより批判的機能が必要

上場企業の場合、「企業のあるべき姿」に照らして監査が行われます。
そのため、監査に求められる機能のうち、批判的機能をより発揮した監査をしなければいけません。
第三者としての視点で監査を実施し、良いか悪いか、あるべき姿は何か、を追求しながら企業の実態を把握して批評していくことが監査人の役割なのです。

IPO監査には指導的機能も求められる

一方IPO監査の場合、企業自体が未成熟な状態なため、批判的機能だけでは監査実務が成り立ちません。もちろん、第三者的立場からの批判的機能は必要ですが、それだけでなく、クライアントとのコミュニケーションを密に図り、企業をよい方向に導くための指導的機能も求められます。
例えば、一般的に上場企業の監査では、「〇〇の管理体制ができていません。あるべき状態はこうなので直して下さい。」という批判的機能を重視したスタンスで監査が実施されます。
しかし、IPO監査では「〇〇の管理体制ができていません。あるべき状態は△△ですが、最初からこのレベルに持ってくるのは時間もコストも要し得策ではありませんよね。ですからまずは□□の策をとって大きなリスクを回避した上で、次に△△の状態にもっていくことを考えるのも一つの選択肢ですよ。」といった、コンサルティング的な視点も求められてくるのです。
これには高い能力が求められます。つまり、単にあるべき状態を知っているだけでなく、その中でも優先すべき事項が何か、肝になる部分が何かを理解していないと、会社に適切な指導ができません。場合によっては、クライアントの規模や直面しているリスクに対して過大な管理体制を要求してしまう、といったことにもなりかねません。

最終的なあるべき状態を見据えながらも、企業の実態を把握し、現時点での企業規模やリスクの程度に応じた適切な管理体制の構築を指導できる能力が、IPO監査においては求められてくるのです。
上場企業とIPOの監査とでは、監査の役割や立ち位置、持つべき視点に、実は大きな違いがあるのです。

IPOのやりがい

先述の通り、IPO監査は、コンサルティング的な立場で監査することができることが大きな魅力でしょう。
IPOのクライアントは企業としてまだまだ未熟な状態。
そうしたスタートアップの段階から、監査を通して少しずつ成長へと導く立場なだけに、実際にクライアントが上場し、事業拡大に繋がった時には大きな喜びややりがいを感じられるものです。

IPO監査は、「企業のあるべき状態」に向かって監査するだけでなく、クライアントの状態や課題に合わせて踏むべきステップを考えるという柔軟性や臨機応変さも求められます。
もちろん難しさもありますが、クリエイティブな視野を持ってクライアントと対峙できる点は、IPO監査ならでは面白さでもあるのです。

あかり監査法人はIPO監査にも力を入れています

あかり監査法人では、上場企業に対する監査だけでなく、IPO監査にも力を入れています。
IPO監査は、クライアントに合わせた臨機応変さが求められるだけに、もちろん難しさもあります。
一方で、状況に応じた柔軟性や広い視野が身につき、公認会計士として幅広い経験を積むことができるので、その分、成長も感じられるはずです。

「幅広い案件に携わりたい」
「スタートアップ企業の成長に貢献したい」
「会計士として着実に成長したい」
そのようにお考えの方は、ぜひIPO監査にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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