国際会計士の資格について。国内で活かす方法は?【CPA'sVOICE】Vol.15
海外で会計士として活躍するための資格として挙げられる、米国公認会計士(USCPA)や英国勅許公認会計士(ACCA)。これからの資格は日本でも活かせるのでしょうか?今回は、これら外国での公認会計士資格(国際会計士)について解説し、日本国内で資格を活かす方法についてもご紹介します。
国際会計士とは
国際会計士とは、海外で活躍する会計士の総称です。
米国会計士(USCPA)や英国会計士(ACCA)などは日本でも人気があり、耳にする機会も多いと思います。世界各国でそれぞれの国に適用した国際会計士の資格が存在します。
また、日本の公認会計士は会計士業務ができる範囲が日本国内に限定されていますが、国際会計士の場合、種類によっては自国だけでなく相互承認協定を結ぶ他国でも業務が許可されることもあります。
海外で会計士として活躍する際には、勤務する国に該当する国際会計士の資格が必要です。
国際会計士は日本でも活かせる?
国際会計士とは、明確な定義があるわけではありませんが、一般には海外で会計士として働くための資格を指します。
公認会計士資格は各国にそれぞれ存在し、例えば日本で公認会計士として活躍する場合には、日本の公認会計士資格が必要です。
そのため、国際会計士(外国での公認会計士)資格を持っていても、日本国内においては、公認会計士の資格保持者とは認められません。
国際会計士資格を持っていることで、「英語などの語学力が高い」「海外案件の監査ができる知識がある」という自己スキルのアピールのにはなりますが、あくまでも日本国内で公認会計士の資格保持者として監査業務に携わることはできないため注意が必要です。
(なお、ここで「監査業務に携わることはできない」とは、厳密にいうと「日本国内での法定監査業務において、監査報告書に監査責任者としての署名が出来ない」という意味で、単純に監査業務の作業の補助をするといったことは国際会計士の資格の有無と関係なく可能です)
日本で監査業務を行ううえでは国際会計士資格は必要ないため、日本の公認会計士資格と国際会計士資格の両方を保有している人はあまり多くはありません。
日本で会計監査業務で活躍したいといった場合は、まずは日本の公認会計士資格の取得を優先して検討するのがよいと考えます。
ちなみに、日本の公認会計士資格と国際会計士の中でも有名なUSCPAを比較すると、一般にはUSCPAの方が難易度が低いと言われています。
たしかに、会計や監査などの専門知識については日本の公認会計士資格の方が難易度が高いと言えますが、一方でUSCPAの資格であれば、当然に高い語学力が要求されます。
語学力を活かしたい方や、将来的に海外で働きたいとお考えの方は、USCPAなどの国際会計士資格の取得を目指すと良いでしょう。
国際会計士を日本で活かすには
国際会計士資格だけでは、日本国内で公認会計士として働くことはできませんが、活躍の場がまったくないというわけではありません。
ここからは、国際会計士資格を日本国内で活かす方法についてご紹介します。
監査法人で会計補佐として働く
国際会計士資格を持っていても、日本の監査法人で公認会計士として働くことはできません。
しかし、語学力や会計士としての知識、グローバル案件への知見などを活かして補佐として活躍することは可能です。
実際に、国際会計士資格を活かして監査法人で活躍している方も少なくありません。
会計事務所・税理士法人
外資系のクライアントを抱えている会計事務所や税理士事務所でも国際会計士資格を活かして活躍することができます。
もちろん、資格保持者としては認められませんが、外資系クライアントの会計処理に関するアドバイザーや会計コンサルタントとして活躍する道もあります。
外資系企業の経理・財務
外資系企業においては国際会計士の認知度も高く、経理や財務ポジションとして歓迎している求人もあります。
国際会計士は、会計知識や語学力を活かして一般事業会社で活躍することも可能です。
まとめ
今回は、国際会計士について解説しました。
国際会計士は、海外で会計士として働くうえでは必要な資格ですが、日本で働くうえでは「会計士」の資格保持者としては認められません。
日本国内では、あくまでも無資格者として扱われるということを認識しておきましょう。
一方で、国際会計士を保有していることで、語学力や会計知識があるという証明になり、就職活動においては十分な強みになります。
監査法人での海外案件に対するアドバイザーや外資系企業での経理・財務など、国際会計士としてのスキルを活かせるフィールドを見つけてみてくださいね!