監査法人は離職率が高い?退職する理由を解説【CPA'sVOICE】Vol.13 

公認会計士の就職先として候補のひとつに上がる監査法人。
ですが、「監査法人の離職率は、一般業界と比べると高い」という声を聞いたことがある人も多いでしょう。
今回は、監査法人の離職率や離職理由について解説します。
監査法人に就職したものの転職を考えている人は、この記事を参考にしてみてください。

監査法人の離職率は高い?

結論から言うと、監査法人の離職率は一般の事業会社より高い傾向にあります。
監査法人はBIG4と呼ばれる大手から中小までさまざまなので、法人や職階ごとに離職率は異なりますが、一般的な離職率は約7%程度といわれています。
入社してから10年経過すると、同期が2割や3割ほどになっているというケースも珍しくないようです。

一般的に医療や福祉、教育業界などは他の業界と比べて離職率が高いと言われますが、監査法人の離職率も同じくらいの水準と言えます。
こうした業界では、労働時間の長さやワークライフバランスの取りにくさを理由に退職するケースが多く、監査法人も繁忙期には期日に迫られて負担が大きくなることが離職理由のひとつになっていると考えられます。

監査法人の離職理由

監査法人の離職理由は、仕事内容や将来の不安などさまざまなケースがあります。
人によって辞める理由は異なりますが、公認会計士が監査法人を退職する理由について、いくつか紹介します。

独立したい

10年以上のキャリアを積んだ公認会計士は、独立やフリーランスとして活動するために、監査法人を退職するケースもあります。
中には2、3年ほど経験した段階で独立を希望する公認会計士もいますが、キャリアが浅いと監査業務としての経験は網羅できません。そういった若年層は、コンサルティングなど異業種での独立を考える場合もあるようです。

先が見えない

監査法人によりますが、このままではパートナーになれない、キャリアアップができないなど、先が見えないことに不安を感じて退職を考える人もいます。
特にパートナーは、全ての公認会計士がなれるわけではありません。
法人によっては、パートナーを増やしたがらなかったり、実務では使っていない能力がパートナーの試験では重要な要素になっていたりして、キャリアアップができず嫌気がさしてしまう人もいるようです。
中には20年続けてもパートナーになれず、先が見えないことからキャリアを見つめ直して新天地に行く人もいます。

長く勤めている場合は、異業界でも通用するスキルが身についているため、将来を考えて異業種や別の監査法人に就職するケースも少なくありません。
また、規模の小さい監査法人に転職することで、全体を見られる立場やキャリアアップできる可能性が広がることもあります。

やりがいが感じられない

監査業務は形式に沿った業務が多いと思われている方もいるかもしれませんが、実際には毎年ルールの見直しや新しいシステムの導入などがあり、変化も大きく学びの多い仕事です。
しかし、新人のうちは監査業務を一貫して担うことができず、一部の業務だけを任されることが多いため、監査業務の全体像が見えなかったり変化を感じられなかったりして、やりがいが感じられずに離職してしまうこともあるようです。

5年以内の離職はキャリアを評価されにくい

先述したような、さまざまな理由が監査法人の離職に繋がっています。
一方で、転職を考えている場合に注意すべき点は、5年以内の離職ではキャリアが評価されにくいということです。
監査法人の仕事は幅広く、年間を通して経験しないと全体の流れが理解できません。
深い知識や経験が求められるため、全ての監査業務を把握するには少なくとも3年はかかります。
インチャージ業務が一人前にこなせるようになるには5年ほどの経験は必要となるので、キャリアの浅い時期での転職は評価がされにくいのです。
インチャージ業務では、自分の調書作成だけではなく、プロジェクトの状況把握やスケジュール管理などさまざまな管理能力が求められます。
そのため、インチャージ業務の経験を積んでいる方が、転職先でも評価がされやすくなります。

また、監査法人は一度辞めて別の業種に転職することができても、ブランクが長いほど戻りにくい世界です。
そのため、監査法人の離職を考える際は「現在勤務している法人を辞めたい」と思っているのか「監査という仕事自体を辞めたい」と思っているのか、しっかりと自分を見つめ直す必要があります。
他の監査法人への転職を考えている場合も、監査業務全体を経験できるようになるまでの5年程度は続けた方が良いでしょう。

フルタイムではなく非常勤という働き方もありますが、スポットでもスキルを発揮できる必要があるため、キャリアが浅い状態では採用されにくいのが現状です。
5年以上の経験があると働ける場所の選択肢が広がるため、本当に今すぐ転職すべきなのか考えることも大切です。

離職後はいちからやり直す覚悟も必要

一度離職して他の監査法人へ転職する場合は、キャリアを最初から築き直す覚悟も必要です。
特に「大手監査法人でスキルを身に付けられた」という気持ちで、2~3年の短いキャリアで転職すると、うまくいかない可能性があります。

先述の通り、2~3年目では、監査業務の一部しか見ることができず、ほとんどの場合、全体を見通す力はまだ身についていません。
自分の経験やスキルを過信せず、「自分にはまだ見えていない部分がある」と肝に銘じて、イチから学ぶ姿勢で仕事に臨みましょう。

まとめ

今回は、監査法人の離職について紹介しました。
監査法人の離職率は、他の業界と比べても高い傾向にあります。
将来性に不安を感じたり、監査の仕事がつまらないと感じるなど離職理由はさまざまですが、早期の離職はおすすめできません。
なぜなら、キャリアが浅いうちは、スキルが身に付いたと思っていても、監査業務の全体像が把握できていないからです。
特に、5年以内の離職ではキャリアが評価されにくいため、自分をしっかり見つめ直して転職するかどうかを検討しましょう。
また、キャリアが浅い状態で他の監査法人に転職する場合は、謙虚な姿勢で学ぶつもりで、イチからやり直す覚悟が必要です。

公認会計士のつぶやき PICK UP

公認会計士のつぶやき PICK UP