監査チームの人数や役割分担って?【CPA'sVOICE】Vol.10

監査法人は、企業の会計処理や決算内容が適切かどうか、第三者視点でチェックする立場です。
チェックを組織的に行うために、「監査チーム」がつくられます。
プロジェクトごとに燗さチームの人数や役割分担が違いますが、実際にどのくらいの人数で動くのか、それぞれの分担について考える方も多いでしょう。
今回は、プロジェクトごとに形成される監査チームの人数や役割分担について紹介します。

監査チームの人数はプロジェクト規模によりさまざま

監査チームの人数は、対象となる企業等の規模や特性によって異なります。
プロジェクトごとに形成された監査チームでは、監査計画の作成から内部統制の評価、実証手続の実施などさまざまな業務を組織的に行います。
グローバルで活動する大企業に対する監査では、100人単位で監査チームが作られるケースもあります。また、海外子会社対応などで、海外の監査法人と連携してのグループ監査チームを形成する場合もあります。一方で、小規模なクライアントでの監査チームでは、3人~5人と少人数で形成されているケースもあるのでさまざまです。
さらに、クライアントのシステム依存度が高い場合には、監査チームは会計士だけでなく、ITの専門家なども動員されます。
この様に、企業の規模や特性に応じた最も監査を有効に実施できる監査チームの構成が検討されていきます。

有名な大企業の監査チームに入る場合には、それ自体とても名誉に感じることが出来ると思います。ただし、相当のベテランにならない限りは、監査チームの動き全体を見渡すことは難しいといえます。一方で小規模な企業の監査チームに入る場合には、その企業は無名かもしれませんが、比較的早い年次から監査全体を俯瞰できることから、監査を学ぶ上では自身の成長にもつなげやすいといった側面もあるかもしれません。

役割分担はキャリアによりけり

監査チームの役割分担は、会社や現場の規模・公認会計士としてのキャリアによってさまざまです。
ここでは、主な役割について紹介します。

パートナー

パートナーは、監査チームの最高責任者です。
最終的な監査報告書にサインをしたり、全体的なレビューやインチャージに対する監査方針の指示出しをするなど、全体を統括する役割を担っています。
他にも人材育成や労務管理など多岐にわたる業務を担っていて、責任のあるポジションです。
パートナーとして活躍する公認会計士は、全スタッフの20~30%程度といったところです。

インチャージ

インチャージとは、監査チームにおける「現場責任者」のことで、「主査」または「主任」と呼ばれることもあり、パートナーの指示を受けて動きます。
業務内容は、調書の作成だけではなく、スタッフへの必要な指示出し調書のレビューなど
さまざまです。パートナーと常にコミュニケーションを取りながら、監査チームで決定された監査の方針にしたがい、具体的な監査手続きを実施・管理していく立場です。
インチャージは、監査チームの中でキャリアの長い方、具体的には公認会計士の登録がされてから3年程度以上経過している人が取り仕切るケースが一般で、上場企業に対する監査などでは、通常は5年や10年のキャリアの人が担当するケースが多いです。

スタッフ

公認会計士になりたてでキャリアが浅い人は、インチャージ等からの指示に基づき監査手続きを実施し、監査調書を作成する事務的なポジションに入ります。

このように、キャリアによって役割分担が違います。
あかり監査法人では、監査チームにおいてインチャージやスタッフに過度な負担がかかることがないよう、また作業の不効率が生じないように、特にパートナーとインチャージとのコミュニケーションを密にとり、監査チーム全体での監査の実施を心がけています。

インチャージの経験は大切!

前述した通り、現場責任者であるインチャージは、監査現場での進歩管理や取りまとめを行う役割を持っています。
インチャージの経験は管理能力が身についたり、キャリアアップにつながるでしょう。

管理能力が身につく

インチャージの役割には、自分の調書作成だけではなく、プロジェクトの状況を把握する必要があるので管理能力が求められます。
業務の中では、プロジェクトを計画的に進めるための進行状況の確認、さらに社外のミーティングや監査計画の説明なども発生します。
そのため、スケジュール管理能力や柔軟性、チームメンバーや関係者とのコミュニケーション能力などさまざまな能力が必要となるでしょう。
インチャージの経験を通じて、調書作成の能力だけではなく、プロジェクト全体を俯瞰して管理できる能力が身に付けられます。

キャリアアップにつながる

監査法人で働く公認会計士の最終キャリアと言われているパートナーは、監査品質や人材育成などさまざまな業務を担っています。
インチャージの経験は、パートナーを目指していく上では必要な能力ばかりです。インチャージ経験を通じて全体を把握する能力を身につけ、いずれはそれを法人運営全体に発揮できるパートナーを目指して欲しいと思います。

ただし一方で、パートナーではなく、ひたすら職業会計士としての監査・会計の技能を高め、監査業務を徹底的に追求したいという志向の方もいるでしょう。
あかり監査法人では、その様な方のキャリアプランも用意していますので、個人の意思を尊重したキャリアアップが可能です。

まとめ

今回は、監査チームの人数やそれぞれの役割分担についてご紹介しました。
監査チームは、プロジェクトの規模によって人数が違うだけではなく、キャリアによって役割分担もさまざまです。
最初は補助的な役割でも、キャリアを積んでいくとインチャージを任せられるでしょう。
プロジェクトを俯瞰して必要な指示を出したり、管理能力が鍛えられたりと幅広い経験が積めます。
監査チームのインチャージ経験は、公認会計士として成長する上でのキャリアの形成に大きくつながっていきます。

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