林成治

 

PROFILE

林成治

パートナー

家業の催事業や会計士専門学校の講師などを経て、2009年から監査法人の公認会計士となった。2019年にあかり監査法人のパートナーとして着任。

さまざまなキャリアを経て公認会計士へ!

――林さんのこれまでのご経歴を教えてください。

林:私は、公認会計士としては珍しいキャリアを歩んできました。

高校は通っていましたが、「勉強よりも人生を楽しもう」という考えで、大学へは進学しなかったんです。卒業後はまず運転免許を取得したかったので、飲食店で夜勤のアルバイトをしながら教習所に通う日々を過ごしました。
その後、これからの人生を考えて、「会計士の資格を持っていればお金が稼げる」という情報を目にしたんです。大卒でなくても、資格さえあれば対等にやっていけるという点に魅力を感じ、会計士学科のある専門学校へ入学しました。
2年半ほどの在学期間中に2回受験しましたが、合格できず…生半可な気持ちで勉強しても歯が立たないと感じたため、一度公認会計士の資格取得を諦めました。

実家がスーパーやデパートで実演販売する自営業をしていました。自分もやってみたところ、想像よりもうまくいき、楽しくなって朝5時から23時くらいまで働く日々を過ごしていました。
4~5年働いて27歳くらいの頃、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)に罹患し入院したことをきっかけに、働き方を考え直したんです。
ちょうどバブルが崩壊した頃で自営業も厳しくなっていたので、20代のうちに公務員試験を受けようと考えました。
卒業した専門学校に公務員コースがあったことを思い出し、当時の担任に「試験問題を譲ってくれないか」と電話で交渉しました。今思えば図々しいですね(笑)。
すると、「うちで会計士の講師をやってみないか」と声をかけてくれたんです。面接を受け、そのまま専門学校で会計士学科の担任をすることになりました。

講師として人に教えるとなると、自分自身も真面目に公認会計士試験の勉強をしなくてはなりません。「今だったら自分も試験に受かるのでは?」と思い始め、2008年、38歳の頃に受験したところ、合格できました。
そのまま専門学校の担任業務を続ける道もありましたが、せっかくなら資格を活かしてみようと、13年ほど勤めた専門学校を離れることを決断し、監査法人に入社しました。
監査補助者からスタートし、部門長としてしばらく勤務しましたが、部門長としての業務に追われ、クライアントに関わる時間が少なくなったこともあり、再度、初心に帰り、クライアントに深く関与できる組織で働きたいと考えるようになりました。ご縁があって2019年3月からあかり監査法人でパートナーとして働いています。

会計士として重要なコミュニケーションの取り方

――さまざまなご経歴を持つ林さんですが、公認会計士になってからこれまでに培ったスキルは活かせていますか。

林:これまでのキャリアで培った人の気持ちを察する能力、それを活かしたコミュニケーション能力は役立っています。

実演販売をしていた頃は、お客様の行動をよく観察していたんです。例えば、試食を渡す際に足がそっぽを向いているお客様の購買率は低く、正面を向いている方は本気で購入を検討しているといったこともわかるようになりました。
講師をしていた頃は、学生の顔色や雰囲気の変化を察知しながらコミュニケーションを取るようにしていました。

現在の業務では、経営者や管理部長の方と話す機会が多くあります。相手の言葉尻やちょっとした表情の変化から、考えていることを細かく読み取って、声のトーンや話す順番を変えるようにしているんです。
相手の気分が乗ってきたと感じたら、自分が聞きたい話題に踏み込むようにしています。相手のことを見ながらコミュニケーションを取るスキルは、これまでのキャリアが活かせていると感じますね。

――経営者の方々とのコミュニケーションを取る上で心がけていることはありますか。

林:経営者の方とは、対等な立場で会話をするように心がけています。そのためには、相手の会社について、経営者と同等レベルまで理解できていないといけません。

会計上、変更が必要な部分を伝える際はやはり気を遣いますね。単純に「これはダメです」と言ってしまえば会計士としての仕事は成り立ちますし、楽なんです。
ただ、教科書通りに「会計上ここはダメですよ」と話すだけではもちろん受け入れてもらえません。「御社の状況はわかっていますが、これが本来やるべきことですよね」といった風にフォローするようにしています。

一方で、言葉には責任が伴います。こちらが優しく出過ぎたために、「こう言ったじゃないか」と責められる状況に発展してしまうこともあるため、温度感の調整が難しいと感じますね。

経営者と二人三脚で会社をより良く

――林さんが感じる仕事のやりがいについて教えてください。

林:クライアントの立場で物事を判断し、感謝の言葉をいただいた時ですね。

監査における判断基準として「白・黒・グレー」というものがあります。白は問題なく、黒は明らかにアウト。その間にグレーが存在しますが、グレーはきちんと理屈が通せるのであれば、会計士の力で白にしていきたいと考えています。

グレーを白にするためには、まずグレー部分についての情報をクライアントから上手く引き出す必要があります。そこからなんとかグレーを白にできた時に「ありがとう」と言っていただけると、私たち公認会計士の付加価値とやりがいを感じるんです。

また、アーリーステージの会社と一緒に、さまざまな戦略を考えて二人三脚で進んでいき、結果的に会社の成長につながった時にもやりがいを感じます。私たちも新たな考え方を得て一緒に成長できるところもあり、同時に楽しさを感じますね。

考え方を受け入れてもらうことの難しさ

――林さんがこれまでに大変だと感じたのはどのような時ですか。

林:クライアントに、会計基準などをご説明しても、なかなか理解していただけない時です。

会計士の業務において、会社が作った将来事業計画に対する実現可能性を検証する場面があります。例えば会社が策定した将来事業計画を100%とすると、過去の予算実績比較等のトレンドや将来事業計画の仮定等を勘案し、そのうち70%しか実現可能性がないという結果が出たとします。その結果を先方に伝えた時に、その事業計画自体が否定されたと捉えられてしまうこともあるんです。
経営者の方は、自分の会社ですから、そういった時に過敏に反応される方もいます。そうなると、そこから何を言っても受け入れられないですよね。

私たちとしては将来事業計画自体を否定しているのではなく、会計上どうしても必要なことを説明しているのですが、クライアントの受け止め方は様々なのでお伝えしきれないこともあり、もどかしさを感じますね。そうした状況になった時は、自分がどうやってアプローチしていけばよかったかを振り返り、次回への活かし方を考えています。

監査のやりがいを感じられる環境

――働く人にとって、あかり監査法人の魅力はどのような点ですか?

林:あかり監査法人は、パートナーなどの上層部が「自らが現場に立ち続けよう」「プレイングマネージャーでいよう」というポリシーを持っているんです。役職が上になっても、部下と一緒に現場に行き、先方とコミュニケーションを取る場面では、率先してコミュニケーションをとります。
大手の監査法人では、パートナーになると現場にはタッチしないケースが多いですが、私たちは現場主義を貫いています。
先ほど出した例のように、クライアントとトラブルがあった時も、部下と一緒に対応策を考えます。もちろん普段から気軽に相談できる環境です。
公認会計士は、頭が良くて賢い人が多く、人が分からないことが分からないとう方も少なくありません。「見ればわかるじゃん、なんで分からないの」と。
あかり監査法人は非常にフラットな組織で、フレキシブルな人材が集まっていると感じます。私自身、部下とコミュニケーションを取る際は「分からないことは全部教えます」というスタンスでいます。分かっていなさそうだったら、先に教えるくらいの気持ちでいますね。

あかり監査法人では、監査業務の楽しさややりがいを感じやすい環境です。

例えば、大学に行って資格をとって大手監査法人に就職した場合、ある程度働けば監査業務に飽きて、一般事業会社やコンサル、独立の道に進む流れが一般的です。大手監査法人時代には部下が30名ほどいましたが、入社して2~3年で辞めていくメンバーもいました。理由を聞いてみると、「監査に飽きた」って言う人が多かったんです。2~3年では監査の本当の面白さなんてわからないのに、もったいないなと思っていました。

たしかに、監査業務はマニュアル化されている部分もあります。ですが、いかにクライアントの状況に応じてグレー部分を白にできるのか、そうした奥深いテクニカルなところもあるんです。そういった部分を楽しめるかが、監査業務の面白さを感じるポイントなんです。
そのためには、経営者と直接話ができる立ち位置で監査をして、全体像を見ていかないとその面白みが分からないんですよね。そうでなければ作業でしかなくなってしまいます。

本当の監査の醍醐味は、経営者とセッションしながら、良い状況を作っていくことにあります。良い結果を導くまでのアプローチと、その結果に対する責任を会計士と経営者の両方が持てるか。それを感じられれば、監査はすごく面白い仕事なんです。そこがわかる前に、他の業界に行ってしまう現状があると思うんですよね。

あかり監査法人には、挑戦することを誰も否定しない雰囲気があり、バックアップ体制も充実しているので、監査を極めたい方はいくらでもチャレンジングな環境を求められます。事務所ではパートナーも隣で一緒に仕事をしているアットホームで風通しの良い環境なので、いくらでも監査について相談できます。

――あかり監査法人は中途入社の方も多いんですよね。

林:大手監査法人のさまざまなポジションで活躍したあと、監査から遠ざかってしまい、監査をもう一度やり直したいという想いを持って入社する方が多くいます。

大手監査法人で管理職になると、対外折衝や法人の行事、部門運営などに時間を取られ、監査そのものに関わる時間が減ってしまいます。そうなると、4~5人の小さなチームで中小企業のクライアントの監査に関わりたいと感じるようになる方も多いんです。

あかり監査法人では、大手顧客はもちろん、内部統制が未熟なクライアントや経営者の思想が偏っているクライアントの状況を良くしていく案件が多くあります。原点回帰して、企業のダイナミックな部分に関われ、監査の面白みがもう一度味わえます。

さまざまな経験が監査に活かせる

――これからどのような方にあかり監査法人に加わってほしいですか?

林:「監査人である前に人間であれ」というポリシーを持っています。
会計士の資格を持っているだけでは生きていけません。会計士だからクライアントと会話ができるのではなく、人間性があるから会話をしてもらえるという感覚を持つことが大切です。
人間性に加えて資格を持っていたら、公認会計士の資格は武器になりますが、人間性がなければただ権力を振りかざすだけの人間になってしまい、誰からも信用してもらえません。

そういった意味では、一度事業会社などでいろんな経験を積まれてからあかり監査法人でしっかり監査に携わるのも良いと思います。監査は基本的には一方通行で見るので、監査を受ける側に立つ経験や、コンサル業務として監査とは異なる視点で会社を見ていた経験は役立ちます。
そうした経験を経て再度監査の業界に戻ってくると、クライアントとの会話の仕方が変わります。「私もそうでした」「お気持ちわかります」などと本当に心から伝えられますからね。大学卒業して、大手監査法人でずっと働くというのも1つの道ではありますが、寄り道をして再度監査にチャレンジしていただくのも有意義ですし、クライアントもそうした人材を望んでいるのではないかなと思っています。

あかり監査法人の強い組織構築に貢献していきたい

――林さんの今後の目標を教えてください。

 林:定年退職までの残りの在籍期間で、創業者メンバーとともに、あかり監査法人を今後も生き残れる強い組織にしていきたいです。現在の成長性を維持できるようなステージを残していきたいと思っています。

監査には終わりはないので、自分自身の監査スキルもさらに伸ばしたいですね。監査を極めてから現役引退して、他の仕事にも挑戦してみたいです。